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第3話

2009/07/16 (Thu) - ドラゴンクエスト5


 「おい、顔にでてるぞ。」
 
 考え事をしている自分に気付き、はっとして振り返る。
 声の主は見知った顔で、はあ、とため息をつく。
 やつは笑いを堪えきれないのか、下を向いて肩を揺らしている。
 
 「考え事して上の空になること多いよな。」
 
 「うるさい」

 やつをおいて、俺は先へと急いだ。
 それに慌ててやつも付いてくる。
 
 しばらく無言で歩いていると、またやつが笑いだす。
 不機嫌そうに俺が睨むが、やつは笑うことをやめない。
 
 「気持ち悪い。なんだ?」

 「いや、さっきのレックスの偽善者ヅラがおもしろくて」

 先ほどの会議の席でのことを言っているのだろう。
 デール王やヘンリーさんからの質問に、さわやかにこたえていた
 のを思い出す。
 
 やつは素の俺を知っている。
 そのせいか、この変わりようがいつも面白くて仕方ないそうだ。
 俺のことを笑っているとわかり、余計不機嫌になる。
 
 「まあ、俺はそんなレックスが好きだぜ。」
 
 「気色悪い。」
 
 ヘラヘラと締りなく笑うやつに冷たく言い放つが、全く効果がない。
 それがコリンズというやつだ。

 
  
  コリンズの部屋に着くと、俺は勝手にベッドに横になった。
 するとそこで留守番をしていたプリズンが擦り寄ってきた。
 嬉しそうに擦り寄るプリズンに笑顔を向け、背を撫でてやる。
 
 「ほんとよく懐いてるよな。」
 
 そういってコリンズもベッドへと腰かけ、プリズンを抱き上げた。
 プリズンは最初は嫌がったが、すぐにコリンズの膝に落ち着き
 気持ちよさそうに撫でられた。
 
 「もう少し、俺にも懐いてくれたらなあ・・」

 そうは言ってもプリズンが俺以外に懐くのはこいつだけだ。
 父にも妹にもなぜか懐かない。
 プリズンは極端に人を嫌がった。

 そのことをコリンズもわかっているからか、懐かないことについて
 そこまで落胆することはなかった。
 
 「明日、面倒なことになったな。」
 
 「・・お前のせいだろ?」

 明日、俺と妹とコリンズは例の事件の起こった町へ行くことになった。
 そうなってしまったのは、先ほどの会議でのこいつの発言が原因だ。
 
 妹が行きたいと言い出すのは予想していたが、コリンズがその意見に
 そろそろ自分も国の問題解決に努めていきたい、だのと発言をし、
 では若い者たちにまかせてみよう、ということになったのだ。
 
 「いやいや、俺はそういう勉強も必要だと思って言ったまでだよ。」
 
 だからそれが原因だ。
 そういう変わりにやつの腹に蹴りを入れてやる。
 やつはあまり痛そうでもなく、蹴られたところをさすって酷いなあ、
 などと漏らしている。
 
 「正直今回の事件、ちょっと気になるんだよね。」
 
 いつもの調子ではあったが、声には真剣さが滲んでいた。
 
 「まあ、そうだな。」
 
 実のところ、俺も気になってはいたので自分が赴くことになったのは
 都合がよかった。
 気になる理由は正直よくわからない。
 あえて言うなら直感だ。
 コリンズもそんなとこなのだろう。

 「そういえばさ、これと関係あるのかわからないんだけど、最近夢を
 見るんだ。」
 
 夢という単語に一瞬ビクッとなるが、コリンズは気付いていないのか
 話を続けた。
 
 「夢にしてはリアルで、風も感じるし、触れば感触がある。そして・・
 レックスの嫌いなあいつにも会った。」
 
 「あいつって・・マスタードラゴンか?」
 
 コリンズは複雑な表情でただ頷いた。
 その表情は、まるで彼自身もあいつのことを恨んでいるように見えた。
 
 「・・俺も」
 
 「え?」

 「俺も、夢でやつの声を聞いた。」
 
 その言葉にコリンズはやっぱりな、とボソっと漏らした。
 彼は俺以上に夢から何かを理解しているようだった。
 
 「俺が思うに、これは夢じゃないな。」

 「じゃあ、なんだよ?」

 俺の疑問にコリンズはしばらく考えていたが、結局ただニコッとして
 わかんないや、と応えるだけだった。
 
 
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