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第13話

2010/03/07 (Sun) - ドラゴンクエスト5

 
 コリンズの部屋へ行こうと客室をでると、プリズンが俺の足に
 擦り寄ってきた。
 今日は異様に甘えてくるな、と不思議に思いながらしゃがんで
 顎下をなでてやる。
 するとプリズンの首輪に目がいく。
 そこにはある宝石が埋められている。
 これは俺のお姉さんのような人である妖精のリリがくれたものだ。
 
 「最近リリに会ってないな・・」
 
 昔は何かあると妹とこっそり妖精の村に遊びに行っていた。
 リリには俺も心を開いていて、数少ないよき理解者だ。
 
 
 「行ってきたらどうだい?」
 
 そう声をかけてきたのは父だ。
 後ろではヘンリーさんが笑顔でうなずいている。
 
 「うちの馬鹿息子も連れて行っていいからな」
 
 ちょうど俺の部屋へとやってきたコリンズが微妙な表情をする
 のが目に入った。



 
 「妖精の村に俺なんかが行って平気かな?」 
 
 よくわからない心配をしているコリンズをよそに、俺はスタスタと
 村への森を進んでいく。
 今日は珍しくコリンズが俺の後ろから離れない。
 一緒に連れてきたプリズンはずっとコリンズの腕の中だ。
 そんな光景にクスリと笑う。
 
 「安心しろ、女王は美男子が好きだから丁重におもてなしをして
 くれるぞ」


 
 
 「レックス!!久しぶり!!」

 俺たちに気付いたリリが村の入り口まで走ってきて、嬉しそうに
 俺に抱きついてきた。

 「レックス、また大きくなったわね」

 「リリは相変わらず綺麗だな」

 冗談を言う俺に、どこでそんな言葉覚えてきたのよ、っと軽く
 頭をたたく。
 
 「後ろの子は?」

 「コリンズ、俺の親友」

 そういうとリリはコリンズに手を差し出す。
 それをコリンズも素直に握りかえす。
 キザったらしい笑顔もつけて。
 コイツの影響ね、とかリリがブツブツ言っているが俺には
 なんのことだかわからなかった。
 
 そんなとき、リリの後ろに見知らぬ女の子がやってくる。
 リリの服のすそをきゅっとつかんで軽くひっぱった。
 
 「あらロゼ、どうしたの?」
 
 「・・リリが先にいっちゃうから」

 ついつい、ごめんねとロゼと呼ばれた少女の頭をなでる。
 銀というよりは白髪に近い肩まで伸ばされた柔らかそうな
 髪がふわふわと揺れる。
 耳が尖っているので、妖精の子のようだが、それにしては
 彼女からもっと強い魔力を感じる。
 
 「リリ、その子は?」
 
 「この子はロゼ。村はずれのバルカスおじさんとこの子よ。
 ロゼ、彼はレックス」
 
 そういってロゼを俺の前に立たせる。
 じっと俺の目を紫の瞳が見つめてくる。
 見つめてくるだけで特に何も言わないので、少し居心地が
 悪いが、不思議と見詰め合ってて嫌な気はしなかった。
 歳は俺より少し下くらいだろうか。
 ただ妖精だったら本当の年齢は見た目ではわからない。
 ずっと見詰め合っている2人を不思議に思ったのか、
 コリンズが俺たちに視線を向ける。
 
 「どうした?」
 
 「・・いや」
 
 そんな様子にリリがふふ、っと笑う。
 
 「この子、あんまりしゃべらないけど、いい子だから仲良く
 してあげてね。さ、こんなところにいてもなんだから、私の
 家にいきましょ」
 
 
 
 
 
 「なるほど。じゃあもうレックスは勇者じゃないのね。」
 
 今までのことをリリに話せば、なんでもないかのように
 返事をかえされた。
 もっと驚かれるかと思ったのに。
 そういう反応をかえされれば、すごく悩んでいた自分は
 なんだったのだろう、とこの出来事をもっと軽く考えることが
 できるような気がしてきた。
 
 「そんな簡単に返されるとはな。俺は結構悩んだのに」
 
 「ふふ、ごめんなさい。そりゃ悩むでしょうね、レックスなら」
 
 「なんだよ?レックスならって」
 
 訝しむ俺にリリばかりでなく、コリンズまでクスクスと笑いだす。
 
 「もっと楽に考えなって。レックス、どうせ存在意義がどう、とか
 考えてるんでしょ?」
 
 まさにその通りだ。
 コリンズの的確な発言に目を見開くと、リリも更に笑いだす。
 
 「もうレックスってわかりやすいなー。」
 
 わかりやすいなんていわれたのは初めてだ。
 ものわかりがいいなら何度となく言われてきたことがあるが。
 
 「レックスのことこんなにわかってる子がいたのね」
 
 それなら安心だわ、とリリは言う。 
 
 2人は俺を通してなにやら意気投合している。
 引き合わせてみてよかったのかもしれない。

 2人で俺の話で盛り上がっているので、(目の前に俺がいるのに
 大変失礼だよな)仕方なくロゼのほうへと目をやる。
 ロゼはプリズンを膝に抱いて毛並みを楽しんでいるようだ。
 プリズンも気持ちいいのか、すでに夢の世界に入っている。
 プリズンが人に懐くなんて本当に珍しい。
 
 リリの話によると、今日はバルカスさんが用事があるとのことで
 一日ロゼを預かることになったそうだ。
 ロゼはバルカスさんの本当の子供ではなく、村の入り口に捨て
 られていたところを拾われたそうだ。
 そんな辛いはずの経緯を感情も顔に出さず、特になんとも
 思ってない、とロゼ自身が話してくれた。(といっても無口なの
 でリリが補足をしながらだが)
 そしてどうやら彼女は妖精ではなく、魔族と人間の子、らしい。
 それならあの魔力も納得がいく。
 そんなロゼを追い出すことなく、仲良く接してくれる妖精たちと
 いうのは本当に心が広い種族だな、と思う。
 
 俺がロゼを見つめていると、彼女が俺の視線に気付き、また
 じっと紫の瞳で見つめてきた。
 
 「レックス・・なに?」
 
 「え、・・いや、なんでもない。」
 
 俺は恥ずかしくなって視線をはずす。
  そんな俺の様子にやはり2人はニヤニヤとしだした。
 
 「レックス~、もしかしなくてもロゼに惚れちゃったんじゃない
 の~?」
 
 「なっ!!」

 リリの言葉に動揺して声をあげてしまった。

 「そうじゃないって」

 「あやしいなー・・」
 
 いや、確かにロゼは綺麗な顔をしているとは思うが、なんて
 いうか・・ロゼの吸い込まれていくような瞳を見つめていると
 懐かしい、切ない気持ちにさせられて、目が離せないのだ。
 
 いくら弁解したところで2人は納得しないようだけどな。

 「ま、今日は家でゆっくりしていきなさい。これからどうするか
 なんてゆっくり考えればいいからさ。」

 リリの言葉に甘えて、今日はリリの家でのんびり過ごすことに
 した。


 
 「3人とも、起きてくれるかしら?」

 翌朝、リリの少し慌てた声に目を覚ました。
 外を見れば、もう随分と日は昇っているようだった。
 こんな時間まで寝ているなんて俺にしては珍しい。
 
 2人もまぶたを擦りながらのそりと起き上がった。
 
 「ポワン様が私たちをお呼びなのよ」

 
 俺たちは軽く支度をして女王のところに向かった。
 後ろをついてくるコリンズもロゼも心なしか緊張しているようで
 表情が硬い。(といってもロゼはあまり感情を顔にださないが)
 
 「ポワン様、参りました」
 
 そういってリリが跪く。
 それに習って俺たちも跪いた。
 
 「そう硬くならなくていいのですよ。」

 女王は優しく微笑みかける。
 それを見て俺たちは顔をあげた。

 「今日は貴方たちにお願いがあってお呼びしました。」
 
 「どのようなお願いですか?」

 「実は最近、このそばで不思議な遺跡を発見しました。
 しかし、入り口の扉が開かないのです。中からは只ならぬ
 魔力を感じるのですが・・そこで、貴方たちにそこを見てきて
 もらいたのです。」 

 「・・・え?」

 俺たちは皆同じようにわけがわからないとでもいいたげな
 表情を浮かべた。
 
 「俺たちが行ったところでどうしようもないんじゃないんですか?」
 
 コリンズのもっともな意見に俺も頷く。
 
 「いいえ、きっと貴方たちなら・・そんな気がしますわ。」

 女王の目は真剣だった。
 きっと彼女には何か見えているのだろう。
 
 「・・わかりました。とりあえず見てきます。」

 特にやることもなかったので反対する理由もなかった。
 それに他の3人も頷き、この後すぐに出発することになった。
 
 
 「ポワン様・・その遺跡って、伝説の魔王が眠るという遺跡の
 ことではないのですか?数百年昔から、代々守られてきた。」
 
 去り際、他の3人には聞こえないようにリリが尋ねる。
 
 「・・今こそ、約束が果たされるときだと思うのです。彼・・ピサロ
 様と、大魔道師バーバラ様の」
 
 
 
 
 
  
 
 
 
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