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第4話

2009/07/24 (Fri) - ドラゴンクエスト5


 コリンズと外へ出かけるのは実は初めてではなかった。
 父たちには内緒で幾度となく外に繰り出していた。
 そしていつも感じていた疑問がある。
 
 「お前、何でそんなに強いんだ?」
 
 「へ?」
 
 間抜けな返事をしながらも、コリンズは目の前にいるモンスター
 に蹴りを食らわせている。
 こいつは格闘タイプじゃない、魔法使いタイプのはずだ。
 
 さっきから俺は後衛でただ展開を見守ってるだけだ。
 (ちなみに妹も)
 
 「強いかなあ?てかレックスに言われたくないな。」
 
 レックスのが強いのになあ、などと漏らしながらも敵を片付けていく。
 その手捌きは逆に美しかった。
 妹なんか先ほどからただすごい、とだけ囁いて見入っている。
 
 すべての敵を裁き、ふうっと一息をついて笑顔でこちらを振り返った。
 その顔はどこかすっきりしているようだった。
 
 「久しぶりに身体動かしてスッキリした。」
 
 「いつも城で兵士の相手してるんじゃないのかよ?」
 
 「うーん・・。兵士相手じゃあ手加減しちゃうから、ね。」
 
 そりゃあこいつ相手じゃあ兵士も歯が立たないだろう。
 ただの王子がここまで強いのはもう才能としか思えない。
 こいつが旅に出たほうがよかったんじゃないか、と今更ながら思えて
 くるのだった。
 
 そうしてコリンズと何気ないやり取りをしていると、いままで黙っていた
 妹が俺のマントを引っ張った。
 
 「ん?何?」
 
 そういうと妹は少し躊躇いながらも、俺とコリンズを交互に見た。
 
 「なんか、お兄ちゃんいつもと違うみたい・・。」
 
 その言葉にハッとして笑顔を浮かべた。
 どうやら気付かないうちに素に戻っていたようだ。
 後ろでコリンズが笑っている気配がする。
 あとで覚えてろ・・。
 
 「そうかな・・ごめんね。」
 
 心の中で思っていることなど、少しも出さずに完璧な笑顔で妹に向き合う。
 それに安心したのか、妹はうん、とだけ言ってマントから手を離した。
 
 「コリンズくんも、お兄ちゃんといるとなんか・・楽しそうだよね。」
 
 それを聞いて今まで笑っていたやつも、キョトンとするのだった。
 
 
 
 
 「俺、そんなに顔に出てたかな?レックスじゃあるまいし。」
 
 「・・僕がなにかな?コリンズくん」

 コリンズがうげぇ、といかにも気持ち悪そうな顔で漏らす。
 一々反応のムカつくやつだ。
 
 「お前も城じゃあただのいい人っぽいもんな。」
 
 「俺はいつでもいい人ですよ。」
 
 「はいはいよかったですね。」

 コリンズを適当にあしらい、コリンズを置いて先を歩く妹のもと
 へ足を進めた。
 妹はすでに人々の話を聞いて回っていた。
 話を聞きながらも傷ついた人を労わるのを忘れない、それは
 どこか父に似ているようで、彼女と父の血の繋がりを感じた。
 
 「何かわかった?」
 
 「うん、やっぱり急に凶暴化した人がいるみたいで、でも最後は
 なぜか事切れたかのように・・」

 妹の表情が歪んだ。
 彼女はどんな人の死だって悲しいと感じる。
 内心はどうでもいいと思っていた俺だが、それを出さないように
 彼女を労わるように頭を撫でた。

 「後は僕らが話を聞くから、タバサは・・「キャーーーー!!!!!」」

 はっとして俺たちは顔を見合わせた。
 
 「まさか・・」

 「急ごう!!」

 俺たちは慌てて声のしたほうへと走り出した。
 
 たどりついたのは小さな孤児院だった。
 入り口で子供たちをコリンズが庇いながら戦っていた。
 相手は街の人のようだが、その目はもう普通ではなかった。

 庇いながらのためか、コリンズが押されぎみになっていた。
 このままでは危ない。 
 俺は迷わず天空の剣に手をかけ、やつに向かって走り出した。
 一発でその首を落としてやる。
 
 「お兄ちゃん!!だめ!!」

 その声にピタリと俺の剣は止まった。
 そして相手が一瞬の隙を見せた。
 そのうちにコリンズが相手の腹に拳をいれて気絶させた。
  
 妹を振り返れば、今にも泣き出しそうな顔で杖を握りしめていた。
 
 「なぜ止めた!!!」

 俺の怒鳴り声にビクリとしながらも、俺から視線を外さない。
 
 「だって・・彼は・・、人間なんだよ?」

 「それがどうした?人間だろうと襲ってくるやつは殺さなければ
 俺たちが殺されるんだぞ?」

 その言葉に妹は下を向いた。
 
 「おにいちゃん・・どうしちゃったの・・?」

 その声は、震えていたがはっきりと俺への不信を感じることができた。
 妹が初めて俺を拒絶した瞬間だった。

 「タバサ、レックスがしたことは・・」
 
 「いいよ。お前がわかってくれれば・・」

 最後のほうは囁くようだったから、きっとタバサには聞こえていない
 だろう。
 コリンズの心配そうな視線を背中に感じる。
 お前はいいやつだな。
 
 俺は気絶したままのやつの前で立ち止まった。
 本当は今すぐ殺したほうがいいはずだ。
 だけど、それは勇者としての行いに背くって言うんだろ?
 こいつの顔を見ながら憎くて仕方がない、あのドラゴンの顔が思い
 浮かんだ。
 
 すると突然、やつが目を見開いた。
 俺は慌ててその場から距離をとり、天空の剣に手をかけた。
 それに気付いた二人も構える。
 
 「が、あ・・く、ぅぅああぁぁ・・。ペ、ンダ・・ンとは、・・はぁぁ」
 
 やつはもがき苦しみながらも何とか立ち上がろうとしている。
 しかし、急に事切れたかのようにやつはパタリと倒れてしまった。
 
 そいつの心臓は、もう動いていなかった。

 
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