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第9話

2010/02/23 (Tue) - ドラゴンクエスト5


 「あの天空人は、おそらくエスタークにのっとられているのでしょう。」
 
 「エスターク・・」
 
 思うところがあるのか、コリンズが神妙な面持ちでその名を口にする。
 俺自身にも、聞き覚えがあるような気がする。
 
 「エスタークは、数百年前にこの世界を支配しようとした者の名です。
 それを天空人たちと、魔法都市カルベローナの長であるバーバラ様とで
 封印したと言われています。まだマスタードラゴン様が生まれたばかり
 の話だそうです。それから後、再びそのエスタークが目を覚まします。
 それを今度は導かれし者達が眠らせます。」
 
 
 「もしかして・・デスピサロがよみがえらせたあれが・・」
 
 俺の囁きにコリンズ以外の皆は目を見開く。
 それは女王も例外ではないようだ。
 やはり、あれは本当にあった出来事で、なおかつ先代の勇者の記憶で
 間違いないようだ。
 そしてこの反応はここにいる皆、その不思議な夢を見ていることを証明
 していた。
 
 「デスピサロって・・あの夢にでてきた・・」
 
 孤児院の少女の言葉に女王がはっとする。
 女王の変化は小さいもので、他のものは気付かなかったようだが、コリ
 ンズはそのわずかな変化を見逃さなかった。
 
 「そうですか・・夢を見るのですね・・。・・貴方たちは皆、導かれし者達の
 子孫です。そしてセディ、あなたは・・うっすらですが天空人の血を受け
 継いでいます。」
 
 「!!まさか・・」
 
 天空の血筋。
 その言葉に孤児院の少女は驚きを隠せないようだ。
 そして俺も、その真実に激しく動揺している。

 「そしたら・・私が勇者であったかもしれないのよね・・」
 
 そうだったらありがたかったな。
 頭のどこか冷静な部分でそんなことを考える。
 そうだったら、こんな運命に翻弄されることはなかった。
 
 「しかし、なぜ僕たちは夢をみるのですか?」
 
 「それは・・昔の記憶、がそうさせるのではないでしょうか・・。
 すみません。私にもそれはわかりません。」
 
 銀髪の少年の質問に、どうにも歯切れの悪い返事をした。
 俺は少しそれがひっかかったが、特に気に留めることもなかった。
 コリンズは別のようだが。
 
 「・・それで、その奪われたペンダントともう一つのペンダントにエスターク
 の力が封印されているんですね。」
 
 動揺している俺たちをよそにコリンズが冷静に話しを進める。
 きっとコイツはもう全部わかっているのだろう。
 
 「そうです。エスタークが完全に復活してしまってはいけません。絶対にもう
 一つのペンダントを渡してはなりません。」
 
 女王の表情はいつもの涼しげなものではなく、焦りでいっぱいであった。
 それほどの危機なのだろう。
 
 「もう一つのペンダントの在り処、それは・・ラインハットです。」
 
 「・・そうか、あのペンダントが」
 
 コリンズが囁く。
 冷静だった顔に少し焦りが生まれる。

 「勇者レックスよ・・もう一度、この世界を救ってください。貴方なら出来る
 はずです。」
 
 今まで何度も聞かされてきた問い。
 今はそれに、応えることが出来ないでいた。
 
 押し黙ってしまった俺を見かねたコリンズが俺を庇うように女王の前に立つ。
 
 「僕たちが、どうにかして見せます。」
 
 その言葉はやっと搾り出されたかのようで、コリンズの表情もまた辛そうな
 ものだった。
 
 
 
 
 5人を城の外まで見送ってから、女王は1人囁いた。
 
 「夢・・そんなことが出来るのは、あの方しかいない。でも、ありえないわ。
 そんなこと・・バーバラ様。」
  
 
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