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第11話

2010/02/28 (Sun) - ドラゴンクエスト5

 
 俺はその場に崩れ落ちた。
 あれほど呪っていた運命なのに、失ってしまうとこんなにも・・。
 色んな感情がごちゃまぜになって頭が混乱する。
 
 そんな俺を心配したコリンズが俺へと手を差し伸べる。
 
 「レックス・・大丈夫だよ。俺がいるから・・」
 
 優しいその手を素直にとる。
 その手を借りて立ち上がった俺をコリンズは優しく抱きしめる。
 
 「もう、無理しなくていいから・・。」
 
 その優しさが、とてつもなくありがたかった。
 甘えちゃいけないはずなのに、甘えてしまう。
 胸がいっぱいになるのに不思議と涙はでてこなかった。
 
 「レックス・・」 
 
 俺へと心配そうな父とヘンリーさんが歩み寄ってきた。
 父は俺の頭をそっとなでる。
 悲しそうな笑顔を浮かべて。
 
 「しばらくゆっくりしなさい。何も心配しなくていいから」
 
 なぜ父からこんな優しい言葉がでてくるのか不思議で仕方なかった。 
 俺は攻められるとばかり思っていたのに。
 
 「コリンズと一緒にいたかったら、ここにいていいからな」
 
 ヘンリーさんも笑顔で俺に応えてくれる。
 俺は何も言うことができずにただ頷いた。
 
 


 
 「にゃぁ~ん」
 
 久しぶりのプリズンの感触を確かめる。
 あごの下を撫でてやればいつものようになついてくる。
 
 ここはコリンズの部屋のベッド。
 あれから俺は疲れてしまったのか、色々考えたいはずなのに
 案外あっさりと眠ってしまった。
 そんな俺に何も言うことなく、コリンズは面倒をみてくれた。
 
 「目が覚めたみたいだね」
 
 声のしたほうを見ればちょうどコリンズが部屋へ入ってきたところだ
 った。
 
 「・・ごめんベッド占領しちゃって」
 
 そう素直に謝れば、コリンズはキョトンとした顔で俺をみてきた。
 その反応にむっとしたような、照れたような表情をする。
 
 「なんだよその反応」
 
 「いや、レックスが謝るなんて珍しいことあるんだなって」
 
 悪びれもなく言うコリンズは、いつもの悪気のない笑顔を浮かべ
 ていた。何か言い返してやろうかと思っていたが、そんな笑顔を見て
 どうでもよくなってしまう。
 
 コリンズがベッドへやってきて端に腰かけ、俺の膝にいるプリズンを
 抱き上げる。
 プリズンは特に嫌がることなくそれに従う。
 
 「少しは落ち着いた?」

 「・・いや、まだ混乱してる」
 
 そういうとコリンズは、仕様がないか、と困ったような笑顔を浮かべる。
 
 「・・くそ憎たらしい運命から逃れられたはずなのに、いざ失うと、自分
 がよくわかんなくなって・・ね。」
 
 そういって苦笑すれば、コリンズが悲しそうな顔で俺を見つめてくる。
 まるで自分のことかのように考えてくれるコリンズに心が暖かくなるの
 を感じる。
 
 「そんな顔すんなよ。お前のせいじゃないんだから」
 
 「だって・・レックスずっと苦しんでたの、知ってたから、」
 
 ますます泣きそうな顔になって唇をかみ締める。
 お前のことじゃないのに、なんでお前が泣きそうなんだよ。
 俺は不思議と、涙がでることはなかった。
 それはずっと昔からのことで、どうやら俺は感情が人よりないらしい。
 そんなことを俺が考えているとは気付かないのか、コリンズが続ける。
 
 「だから俺、正直レックスが勇者じゃなくなってほっとしてる・・
 やっと、レックスがレックスとして生きていけると思うから。」
 
 「俺が俺として、か・・。」

 今まで偽ってきた俺に、はたして本当の自分なんかあるのだろうか。
 ただ、肩書きがないことの開放感はどこかで感じていた。
 今が自分の殻を破るときなのかもしれない。
 
 
 

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