季節はもう10月。
そよぐ風は少し冷たくなってきていた。
卒業まであと半年もなく、3年生は受験勉強の季節だが、
高校もエスカレーター式の山吹では関係のないことだった。
千石も例外ではなく、いつものように屋上でのんびりと昼寝をしていた。
「おい。お前またきてたのか。」
声が聞こえて、千石は目を覚ます。
そこには、いつものように不機嫌な表情で亜久津が立っていた。
「えへへ。今日もさぼっちゃった。」
亜久津は何も言わず、千石の隣に寝そべった。
最近はいつも2人で屋上だ。
亜久津も不機嫌な顔はしたって、千石を追い出したりはしない。
しばらくの間、2人はただ寝そべって風を感じていた。
「・・ねぇ、あっくん。」
「なんだ?」
いつもヘラヘラしている千石が、今日は珍しく静かだ。
それを感じてか、亜久津もいつもより優しく返事をする。
「おれさ、なんか自分でもよくわからないんだけど、最近ね・・
心がからっぽな感じがするんだ。」
「・・はぁ?」
思わず気の抜けた声をだした亜久津を、気にする様子もなく
千石は続ける。
「なんていうかさ、なんもすることなくなっちゃったなぁ・・って」
「・・あぁ。そういうことか。」
おそらく千石はテニス部を引退したから、そう思うのだろうと
亜久津は考えて納得した。
「高校いったら、またテニスできるじゃねぇか。」
それでも千石の表情は晴れない。
「なんか違うんだ。テニスはしたいんだけどさ。」
千石はあまり自分のネガティブな部分を話さない。
それを話しているのだから、よっぽど悩んでいるのだろう。
亜久津がタバコを取り出す。
千石が手を差し出すので一本あげた。
「お前そろそろ一箱買って返せ。」
「えへへぇ。」
千石はいつものように笑う。
(こいつのことは、肝心なところでわかんねぇな・・。)
その後も、なにをするでもなく、ただ寝そべってすごした。
2人はずっと無言だったが、この空気が千石は好きだった。
ここにいるときは、自分が自分でいられる気がしたから。
「・・進学すんの、やめようかなぁ。」
小さな囁きだったが、亜久津にはちゃんと聞こえた。
千石は寝そべったまま、遠くを見つめていた。
「進学しなくて、どうするんだ?」
「・・何がしたいんだろ?わかんないや。」
それだけを話すと、千石は起き上がった。
いつもの笑顔でいた。
「あっくんが真剣に話きいてくれるなんて、珍しいね。」
その言葉に、フンと笑って亜久津も起き上がった。
そのまま2人は、夕日に照らされた屋上を後にした。
亜久津と千石は親友だったらいい。
そしてあっくんはめちゃくちゃ優しければいい。
文章下手でごめんなさい。
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