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中学時代・・3

2008/03/22 (Sat) - ぼくらの青春時代


あれから暫くたった日の放課後。
亜久津は教室で伴爺に渡されたパンフレットを眺めていた。

千石はなぜ転校することを選んだのかも気になるが、
自分自身はどうしたいのか、ずっと考えていた。

自分がテニスをまだ続けたいことも心のどこかで気付いてい
た。
しかし、プライドが邪魔をする。

一回やめたくせに、またテニスに戻るのか・・?

ガラララッ。

「千石いるかぁ?・・て、あ。亜久津?」

声に振り返ると、そこには驚いた顔の南が立っていた。

「・・なんだよ?」

「いや、亜久津が教室にいるなんて珍しいなぁって・・」

すると南は亜久津の隣の席、千石の席までやってきて、
机の上に座った。

「千石の荷物はまだあるな。ってことはもしかしなくても、
亜久津も千石を待ってるのか?」

千石のニヤニヤした顔とは違い、さわやかな笑顔の南に
少しむかついたが、ああ。とだけ応えた。

そのさわやかな笑顔のまま南は続ける。

「最近、やっと千石の迷いが吹っ切れたみたいなんだ。」

その言葉に、亜久津は少しだけ眉間にしわをよせた。
それでも気にせず、南は続ける。

「あいつ、正直大会中も悩んでたみたいでな、たまに暗い
顔して何かを考えてることがあったんだ。」

そのころの千石を亜久津はよく知らなかった。
亜久津がいたころに、千石のそんな表情をみたことが
なかったからだ。

「俺が思うに、千石はエースであることが重荷だったんだと
思うんだ。」

「あいつが?」

「ああ見えて、精神的にかなり脆いだろ?」

南が複雑な表情で笑った。

確かに、千石は精神的に脆い。

自分がエースなんだから、勝たなくてはいけない。
自分が引っ張っていかなくてはいけない。

亜久津が抜けて、それをより感じていたのだろう。

しかし千石は、それを誰にも言っていないはずだ。
それを知ってるってことは、南が千石のことをちゃんと
見てきたという証拠だ。

「多分、千石は大会とかエースとか、そんなの忘れて、
ただ自由にテニスがしたかったんだと思う。」

自由に・・か。

確かに、山吹にいたままじゃエースであることは変わらない。
まったく関係ないところに転校してしまえば、そんなことは
考えずに自由にテニスができるだろう。

ただ、それだけで転校するとは思えない。

千石は仲間思いだ。
仲間のもとを、そんなに簡単に去れるとは思えない。

亜久津が考えこんでいると、南が急に悲しそうな表情になり、
亜久津を見据えた。

「千石、・・転校するんだろ?」

はっとして、亜久津が目を見開いた。

「お前、知ってたのか?」

南は無理に笑顔をつくり頷いた。
その表情を見ていると、複雑な気持ちになった。

南は、送り出す覚悟ができているんだ。

「知ってるか亜久津?千石はな、自由になるためだけに転校
したいんじゃないんだぞ?・・お前と一緒にテニスがしたいんだ。」

それは千石に直接言われたことだ。
しかし、なぜ自分と一緒にテニスをすることに、こだわるのか
わからなかった。

「なぜ千石は俺と一緒であることにこだわるんだ?」

「あいつは亜久津と打ってるときが、一番イキイキしてたよ。
お前のテニスが好きなんだろ。いいライバルだしな。それに・・・
お前に諦めてほしくないんじゃないかな。テニスを。」

南の言葉は亜久津にとって衝撃的だった。

諦めてほしくないと言われて、自分が思っていた以上にテニス
に未練があることに気付いてしまったから。

亜久津はもう一度、パンフレットに目を落とした。

(もう一回ぐらい、やってみてもいいかもな。)

亜久津はもう迷っていなかった。

「そっかよ。」

そっけなく返事を返すが、心の中で南に感謝した。


ガラララッ。

「・・あれ?南とあっくんが一緒にいるし。」

2人が声に振り返ると、千石がポカーンとした顔で立っていた。

「おいおい千石~、早く貸してたノート返してくれよ。」

「あ、そうだったね。メンゴメンゴ。」

そんな2人のやり取りをよそに、亜久津はいきなり席を立って
教室の外へ向かった。

「あれ?あっくんどこいくの?」

「職員室だ。」

「・・え?」

亜久津は乱暴に教室のドアを閉めた。
その様子をみて、千石はわけがわからず、ドアを見つめたまま
固まっていた。

それを見た南が声をあげて笑ったので、借りてたノートで頭を
叩いてやった。




こうでもしないと二人が転校してくれません/笑

南が唯一の活躍です。ヨカッタナ。
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